実地指導は「事業所の健康診断・定期検診」…しかし楽観は禁物!


注記
※本記事は『通所サービス&マネジメント 』2019年5-6月号(vol.17_no.1)に掲載の「今さら聞けないコンプライアンス!【最新】転ばぬ先の実地指導対策のキモ」(執筆者:株式会社ヘルプズ・アンド・カンパニー  代表取締役 西村栄一)より引用しています。

実地指導は「取り締まり」ではない

デイサービスなどの介護事業所は,介護報酬改定・制度改正のたびに経営環境が変化し,新しいサービス展開などが求められてきました。それに伴って行政による実地指導は厳格化し,事業所はより適正な運営と綿密な準備が必要となっています。

まず,実地指導は「取り締まりではない」ということを明確に覚えておいてください。実地指導の目的は,各事業所が法令を理解・遵守した運営を行っているかどうかを行政が直接確かめ,誤っている場合はそれを正すことです。つまり「事業所の健康診断・定期検診」ととらえていただければよいかと思いますので,極端に怖がる必要はありません。

しかし「大船に乗ったつもりでいろ。俺たちはどこの誰よりも社会福祉に貢献している。実地指導と言ったって,ただの健康診断だ。うちは何もやましいことはしていない。正直に答えればいいから」と経営者が無駄に職員を安心させ,楽観的に構えすぎることも危険です。

もし,人員基準の不具合や介護報酬算定の誤りが見つかった場合,事業者は「過誤申請」として是正指導されることもあるでしょう。しかし,まだこの時点では行政からの報酬返還命令ではなく,あくまで是正指導ですので「事業者の自主返還」となります。いずれにしても,通知が来る前から法令に沿った経営を常に心がけていただきたいものです。

実地指導が監査に変わる 大きな理由 

さて,「実地指導」と混同しがちなものに「監査」があります。「監査」は緊急度も重要性も全く違うものです(表1)。自治体によっては,実地指導の際に「実地検査」や「監査指導」といった名称で文書通知が来ることがありますが,疑問に感じた時は恐れずに「これは介護保険上の実地指導ですか,それとも監査ですか?」と自治体に質問しましょう。

実地指導が「監査」に変わる大きな理由 は,「虚偽」やそれに関する発言,「改ざん」や「隠ぺい」が発覚した場合です。

「実地指導」から「監査」に切り替わると,行政は徹底的にその事業所を調査します。退職した職員のみならず,サービスを受けている利用者や家族にまで調査が及ぶことがあります。事業所側の意見を聞く「聴聞」に及ぶと,「指定取消」や多額の報酬返還請求(最大実額+40%の罰金)といった行政処分の可能性が出てきます。だからこそ皆さん の事業所においても「本気の事業経営」「攻めだけでなく守りの運営」が大事なのです。

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