排せつ支援加算の趣旨と対象理解

注記
※本記事は季刊誌『地域包括ケア時代の通所&施設マネジメント』2020年8月配本号に掲載の「排せつ支援加算算定に向けて押さえておきたいポイントと実践例」(執筆者:DASUケアLAB® 代表/DASUケアコーディネーター 認定排泄ケア専門員(コンチネンスリーダー)/排泄機能指導士/社会福祉士/介護福祉士 大関美里)より引用しています。

2018年度介護報酬改定で新設された「排せつ支援加算」。スタートしてから3年目となりますが,皆さんの施設では算定されているでしょうか?

「可能な支援は提供しているが,加算の取得はその労力のわりにメリットが少ないため着手していない」という声も,現場から多く聞かれます。

優先順位が高くない理由としては,算定額が理由ということもあるようですが,ケアプランを適切に検討し,排泄の自立に向かうように取り組めば,加算を取得することは決して難しいことではありません。

排せつ支援加算の趣旨と対象理解

2018年度介護報酬改定で,排せつ支援加算は「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」を趣旨として新設されました。

その全文は,「排泄障害等のため,排泄に介護を要する利用者のうち,身体機能の向上や環境の調整等によって排泄にかかる要介護状態を軽減できると医師,または適宜医師と連携した看護師が判断し,利用者もそれを希望する場合,多職種が排泄にかかる各種ガイドライン等を参考として,排せつに介護を要する原因等についての分析,分析結果を踏まえた支援計画の作成及びそれに基づく支援を実施することについて,一定期間,高い評価を行う」とあります。

簡単に言うと,医師や看護師など多職種との連携に基づき,排泄状態の改善が見込まれる利用者に対して適切な支援を行うことで評価される,というものです。

「適切な支援」と言っても,これまでとまったく異なる支援を行わなければならないということではありません。これまで皆さんが現場で行ってきた,「利用者本人をよく観察してアセスメントし,必要なケアをしていく」といったプロセスが評価されます。

つまり,加算の算定に当たっては「排泄状態の改善」という結果は必須ではなく,対象者に応じた排泄支援を行う過程,そして改善されなかった場合にはその要因分析を多職種と検討し,明確化することで算定要件を満たします。

なお,算定額は利用者1人につき100単位/月で,起算日から最大で6カ月まで要件を満たしていれば算定ができます。

また,対象とされる「排泄に介護を要する利用者」とは,要介護認定調査の際に用いられる『認定調査員テキスト2009改訂版(平成27年4月改訂)』にて,排尿または排便の状態が「一部介助」または「全介助」と評価される人です。

この「一部介助」または「全介助」とは,排尿・排便の一連の動作(表1,2)のうち,部分的あるいはすべてにおいて介助が行われている場合を言います。

ポイントは,「対象となる人の排尿・排便の状態をそれぞれで検討する」ということです。そして,医師または医師と連携した看護師による改善可能性・低下防止性の検討にて,改善の可能性がまったくないと判断された場合には対象外となります(図1)。



続きは季刊誌『地域包括ケア時代の通所&施設マネジメント』2020年8月配本号をご覧ください


セミナー
・東京地区:2020年9月13日(日)
・名古屋地区:2021年2月27日(土)



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