認知症の人へのケア&リハビリテーション

現在、ごく軽度の認知症の人を除いて、認知症の人の認知機能改善は困難だと言われています。

したがって、認知症の人へのリハビリテーションは、心理的安定やBPSDの軽減を目的にしたり、生活障害の改善に着目して介入したりすることが多いです。

では、認知症の人の生活障害に対するリハビリテーションとして、どのように評価し介入していけぱよいのでしょうか?

まずは認知症の人との適切なコミュニケーションをはかり、信頼関係を構築することが大切です。

認知症の人が残された能力を発揮するための工夫として環境調整も大切です。

さらに、認知症の人の日常生活動作のリハビリテーションは、食事・更衣・排泄・整容・入浴などの生活動作を練習・訓練するというよりも、何ができて何ができないかを見極め、できることを遂行し、できない部分を見守って介助することや、認知症の人が行いやすい環境やその動作につながるきっかけを提供したり、仕切り直しをしたりすることなどが重要です。

認知症の人の場合、それまで「できていたこと」ができなくなっていくことで、周囲の人たちは「できないこと」ばかりに目を向けやすくなります。

しかし、認知症の人でも創意工夫をすればできることもたくさんあります。認知症の人にこそ、「できることは何か」「どうすればできるのか」という視点が重要なのです。

認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)では,認知症の人に対するリハビリテーションを次のように定義しています。

「実際に生活する場面を念頭に置きつつ,有する認知機能等の能力をしっかりと見極め,これを最大限に活かしながら,ADLやIADL(掃除,趣味活動,社会参加等)の日常の生活を自立し継続できるよう推進する」

認知症の人へのリハビリテーションというと,どうしても認知機能に意識を向けてしまいがちですが,前述の定義に従ってADLやIADLに焦点を当てた,具体的なリハビリテーションに目を向ける必要があるのです。

日総研主催のセミナー『パーソンセンタードケアを基盤とした認知症の人へのケア&リハビリテーション8つの具体策』では、次の3つの要点を学びます。

①行動背景(ナラティブ)を理解したリハビリアプローチの重要性
②日頃のケアで実践する残存機能を生かしたリハビリプログラムの具体策
③生活障害改善を目的としたチームによるケア・リハビリの工夫例

指導講師は、森ノ宮医療大学 保健医療学部 作業療法学科 教授、認知症専門作業療法士の松下太氏。

【参加者の声】
●パーソンセンタードケアの捉え方を具体的なエピソードを交えて教えていただけたので理解が深まり、認知症の人への個別性の高いケアの必要性を再認識できた。(作業療法士)
●認知症の人へのリハビリテーションには“その人らしさ”を見ながらアプローチしていくことが重要であることが理解できた。(理学療法士)
●認知症の人の生活行為に対するケアとリハビリアプローチについてスタッフに伝えることができる具体的な事例をたくさん得ることができる内容だった。(看護師)
●重度の認知症の人への日ごろの対応に迷いがあったが、講師の話を聞いて声かけの仕方やリハビリ的なかかわり方のポイントが理解できた。(介護福祉士)
●認知症の人へのケアとリハビリの目標を立てて実践していく上で、その人のナラティブを理解することと個人因子としての強みを生かしていくことの重要性がよくわかった。(看護師)
●自分自身が普段正しいと思い込んでいた認知症の人への介入の仕方について見直しが必要だと考える機会を得ることができた。(リハビリ職)
●認知症専門の作業療法士ならではの視点と理論的でかつ具体的でかつ面白いお話だったので、わかりやすく参考になった。(作業療法士)

セミナー

・大阪地区:2020年5月17日(日)
・東京地区:2020年6月27日(土)
・名古屋地区:2020年8月8日(土)
10:00~16:00

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