介護技術の指導

注記
※本記事は隔月刊誌『介護人財』2019年9-10月配本号に掲載の「今どきの介護現場で求められるスキルアップ支援とは」(執筆者:浦和大学短期大学部 特任教授 青柳佳子)より引用しています。

介護人材が不足している日本の介護現場では、無資格者や初任者研修修了者、外国人労働者、介護福祉士など、多様な人材が介護職として働いています。そして、資格の有無に関係なく同じ業務を行うことも多く、業務分担がなされていたとしても、利用者の状況に応じた、適切な対応が求められます。

介護職は、要介護状態にある利用者が、最期までその人らしい生活を送ることができるよう、利用者の尊厳を保持し、QOL(生活の質)の維持・向上の視点を持って支援していかなければなりません。そのためには、先輩介護職から教えられたことを見様見まねで行うのではなく、知識を基に判断し、実践する力を身につけることが必要となります。

つまり、多様な人材が働く介護現場では、正しい知識と技術を身につけるために、それぞれのレベルに応じた職場内での研修や教育が重要となります。

介護を行う時には、そのよりどころとなる基本的な知識と技術が必要になります。そして、基本的な知識と技術がなければ、利用者の状況に応じて変化させて用いること(応用)もできません。

スポーツなどでは上達するためには基本を繰り返し練習することが重要ですが、これは介護も同じです。基本を繰り返し練習し身につけることで、介護技術は上達します。

介護職は、「食事」「排泄」「入浴」など、日常生活の場面ごとに介助方法を身につけていきます。気を付けなければならないのは、日常生活には連続性があるため、各生活場面を関連づけ、それぞれの場面での介護方法を組み合わせ、統合させながら説明していく必要があるということです。

そのため、教える内容の順番も考えながら指導していくと良いでしょう。例えば人の基本動作には、「寝返る」「起き上がる」「座る」「立ち上がる」「立つ」といったものがあります。これらの動作は、食事、排泄、着替え、入浴で共通して介助する動作です。

まず、この基本動作について「人はどのように行っているのか」を理解し、「人が行っている自然な動作を支援する方法」を身につけることが基本となります。

そして、次に身支度(整容、口腔ケア、着替え)、食事、排泄、入浴といった順番で教育することにより、各生活場面を関連づけ、またすでに学習した内容を用いて介護技術を身につけることができます(図)。



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