ホスピスに入院するタイミング

注記
※本記事は隔月刊誌『臨床老年看護』2019年7-8月号に掲載の「暮らしの中の看取りにちょっぴり緩和ケアのエッセンスを」(執筆者:社会福祉法人聖ヨハネ会 桜町病院 在宅診療部長 大井裕子)より引用しています。

これまでたくさんのがん患者の最期の時間を一緒に過ごしてきました。外科医,ホスピス医としての27年の間に患者を取り巻く環境も大きく変化してきました。

時代と共に患者に伝えられる情報の内容も変化しており,最近出会う患者の多くは,がんであることだけでなく余命が長くないことを知らされており,ホスピスに相談に行くように,あるいは最期をどこで過ごしたいのか考えるよう言われ,とてつもなく大きな不安を抱えて相談外来に来る人が多いのです。

その患者や家族の話を聴くうちにその緊張が少しずつほぐれ,少し安心しましたと笑顔になると,緩和ケアの本当の意味が少し伝わったのかなと感じます。

ホスピスに相談に来た患者や家族のすべてがホスピスに入院するわけではありません。今後の見通しを知ることでこころの準備ができ,最期まで自宅で過ごす覚悟ができた家族もいれば,患者自らがホスピスに入院するタイミングを考えて入院して来ることもあります。

このように患者がまず最初にホスピスを考えるようにと言われるのはどのような状態の時でしょうか。1日のほとんどをベッドの上で過ごすくらいの時期でしょうか。あるいは時々会社を休むことはあっても,まだ仕事を継続できているくらいの体力が保たれている時期でしょうか(図1)。
外来に通院することができる体力があり,元気そうに見える患者が,がんの再発が分かって治療を受け,それが限界を迎えた頃に初めてホスピスを提案されることが多いようです(図1①)。

ホスピスという言葉を聞くのが初めてという人も多く,インターネットなどで調べると,ホスピスは最期の場所,死を待つ場所ととらえる人がほとんどです。皆さんには,その人の気持ちを想像してみてほしいのです。


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