ケアプランとは

注記
※本記事は隔月刊誌『達人ケアマネ 』2019年6-7月号に掲載の「ケアマネジメントの基本・つまずきを解決する指導法」(執筆者:株式会社ふくなかまジャパン 代表取締役社長 眞辺一範 ほか)より引用しています。

ケアプランは介護サービス計画とも言われ,介護保険制度上において,その種類は多岐にわたります(表1)。

しかし,最も一般的で多くの人がイメージするケアプランは,居宅介護支援事業所のケアマネジャーが要介護者のために作成する「居宅サービス計画」でしょう。

実際に,平成31(2019)年1月現在の居宅サービス受給者数は約306万人,介護予防サービス受給者数は約72万人,施設サービス受給者数は約94万人,地域密着型介護予防サービス受給者数は約87万人になり3),大半のケアプランは居宅サービス計画であることが分かります。

法律で定められた居宅サービス計画とは,「尊厳を保持し,その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」(介護保険法,第1条),「当該居宅要介護者の依 頼を受けて,その心身の状況,その置かれている環境,当該居宅要介護者及びその家族の 希望等を勘案し,利用する指定居宅サービス等の種類及び内容,これを担当する者その他 厚生労働省令で定める事項を定めた計画」(介護保険法,第8条第24項)とされていま す。

佐藤は「ケアプランは,簡略に表せば, 利用者がどのような方針で,どのような具体的なサービスを利用していくか計画した書類」だと述べています4)。福富によると,「ケアプランとは利用者の望む暮らしの実現に向けて設定されたニーズを充足するさまざまな種類の社会資源の使い方を明示したもの」5)としています。

厚生労働省が平成28(2016)年11月に策定した「介護支援専門員実務研修ガイドライン」6)では,居宅サービス計画の意義と目的として,次の5点を指摘しています。
・自立支援と尊厳の保持につながる利用者の望む暮らしを明らかにし,利用者の意欲を高めること。
・自立した生活の継続とそのためのサービス,社会資源等の活用がプランに位置づけられる。
・利用者の望む暮らしの提案・確認をすることにより,自立した生活を実現すること。
・課題と対応する目標と具体策及び,総合的な援助の方針の提案・確認の合意形成を図るツールであること。
・支援方法やサービスの明確化,スケジュールや手順を明確化すること6)

これらの意義や目的を見ると,ケアプランはやはり利用者の自立支援を実現する具体的な手立てを明確にすることが核心だと分かります。そして,自立した生活を達成するための方策の一つは,次の標準様式の内容を十分理解し,適切に使用できるようになることです。
第1表「居宅サービス計画書(1)」
第2表「居宅サービス計画書(2)」
第3表「週間サービス計画表」
第4表「サービス担当者会議の要点」
第5表「居宅介護支援経過」
第6表「サービス利用票(兼居宅サービス計画)」
第7表「サービス利用票別表」  

標準様式の通知7)には記載要領が示されているので,この内容を熟知しておくことが求められます。

さらに, 標準様式ではありませんが,2014年にアセスメントとケアプランのプロセスをつなぐ「課題整理総括表」8)が加わりました。これは,サービス担当者会議や地域ケア会議などでの活用が勧奨されていますが,特に,初任者や実習生に対する主任ケアケアマネジャーによるOJT研修の際に活用されることが期待されています。

新任者や実習生に対する指導のポイントは,これらの様式の理解と実際の記入の仕方が中心になります。特にケアプラン原案作成のプロセスでは,「課題整理総括表」を活用し,「居宅サービス計画書(1)」や「居宅サービス計画書(2)」「週間サービス計画表」までの思考プロセスと実際の具体的作成手順を示す必要があるでしょう。

3)厚生労働省ホームページ:平成31年1月分介護保険事業状況報告(暫定)  https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/ m19/1901.html(2019年5月閲覧)
4)佐藤信人:ケアプラン作成の基本的考え方,P.64, 中央法規出版,2008.
5)福富昌城:利用者の思いを映すケアプラン事例集, P.13,中央法規出版,2011.
6)厚生労働省:介護支援専門員実務研修ガイドライ ン,P.99(平成28年11月)
7)厚生省:介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について(平成11年11月12日老企第29号,厚生省老人保健福祉局企画課長通知)
8)厚生労働省老健局:課題整理総括表・評価表の活用の手引き(平成26年3月)

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