“家族のような介護”と言う呪縛を解き放て!

注記
※本記事は書籍『介護の「毒(ドク)」は「コドク(孤独)」です。』(著者:介護アドバイザー/介護老人保健施設「星のしずく」看介護部長 理学療法士 介護支援専門員 介護福祉士 高口光子)の巻頭言より引用しています。
「介護」が制度やその方法ではなく、“介護現場”として社会から注目されるのは、虐待が事件となった時です。事件なので、介護にかかわっていない人も交えて、働く介護職がなぜ虐待をしてしまうのかを真剣に話し合われます。そして、「介護」が虐待に変わってしまうその大きな要因は、「介護ストレス」だと結論づけられることが多いようです。

 その「介護ストレス」というのは、3Kとも言われている“介護現場”での、排泄物の処理、重たい抱え仕事、認知症の不可解な行動などを人手不足とからめて、「本当に大変な仕事ですよね」と同情されながら説明されていきます。この時私は、私たち“介護現場”で働く者たちの「介護ストレス」のとらえ方は、世間一般の認識とは異なっているんだという事実を知りました。

 「介護ストレス」とは、介護を通して人として出会ったからこそ発生する感情です。「人は思いどおりにならないし、思いどおりにしてはならない」。これは、対人援助を職業とする者たちの規範となっています。この規範に「この人のために、こんなにしてあげているのに、してあげたいのにどうして伝わらないんだろう」という気持ちが重なると「介護ストレス」となっていきます。

 この「介護ストレス」は、人が人として出会った時に発生しやすい、健全なストレスだと私は思っています。
しかし、誰にでも起こり得る健全なストレスであったとしても、そのストレスをため込んでしまうと、「仕事」=「介護」が続けられなくなったり、最悪の場合、虐待へと陥るのでしょう。

 「仕事としての介護だからこその『介護ストレス』が発生する」
 ここを理解し、整理しないと、私たち介護現場は社会の認識とズレたままです。
 「介護」を仕事として選んだ人が、時になぜ虐待をするに至るのか。どうしたら回避できるのか。
 私自身がこれからも“介護現場”で働き続けるために、本書はここを考えていきます。

     2018年6月
高口光子





著者/高口光子
介護アドバイザー
介護老人保健施設「星のしずく」看介護部長
理学療法士/介護支援専門員/介護福祉士
A5判 160頁 定価2,300円+税(ISBN 978-4-7760-1867-4)
やりたい介護をちゃんとやろう…お年寄りのそばにいる意味を考えて
虐待を起こさない組織を作ろう!
自分はいつか虐待をしてしまうかも…
そう思っているあなたやどこの施設にもいるそんな職員への処方箋

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