認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン

注記
※本記事は隔月刊誌『達人ケアマネ 』2019年6-7月号に掲載の「ケアマネジャーも押さえておきたいアドバンスケアプランニング」(執筆者:きちっと居宅介護支援事業所 主任介護支援専門員 佐藤文恵)より引用しています。
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(以下,ガイドライン)は,日常生活や社会生活などにおいて認知症の人の意思が適切に反映された生活が送れるよう,認知症の人の意思決定にかかわる人が,認知症の人の意思をできる限り丁寧に汲み取るために,認知症の人の意思決定を支援する標準的なプロセスや留意点を記載したものである。

ガイドラインの趣旨より

意思決定支援の重要性は誰もが認識することで,認知症の人についても同様である。ガイドラインでは,認知症の人を支える周囲の人において行われる意思決定支援の基本的考え方(理念)や姿勢,方法,配慮すべき事柄などを整理して示し,自らの意思に基づいた日常生活・社会生活を送れることを目指すものである。

基本原則から

ガイドラインでは,「意思」という言葉で, 意向,選好(好み)を表現することがある。意思の確認が難しい場合,本人の価値観,健康観や生活歴を踏まえて,本人が望むであろうところ,好むであろうところを関係者で推定することを推定意思・選好とし,尊重される。言語による意思表示が上手にできないことを想定し, 読み取るための最大限の努力を求められる。そして,本人の意思による実現は,重大な影響が生ずる場合を除き尊重される。

本人の意思決定能力

意思決定能力とは,理解する力・認識する力・論理的に考える力・選択を表明できる力,によって構成される。行為内容により相対的に判断され,「ある・ない」の二者択一的ではなく,(連続量),段階的,漸次的に低減・喪失されていくものであり,認知症の状態だけではなく,社会心理的・環境的・医学身体的・精神的・神経学的状態によって変化する。また,意思決定支援者の「支援力」によって大きく変化する。

意思決定支援のためのチーム

早期から継続的に,患者にかかわる多くの人たちと関係を構築し,状態の変化や進行,生活状況への影響などから,それぞれのタイミングに合わせて多職種で連携する。意思決定支援会議を何度も繰り返し開催し,可能な限り本人も参加してもらい,互いを尊重し,自由に提案し,情報を共有し,協働して支援を進める(資料1)。

意思決定支援プロセス

認知症の人の持つ個別の能力を最大限に引き出せるよう,環境の整備は必須となる。「人的・物的環境整備」から,「意思形成支援」「意思表明支援」「意思実現支援」と意思決定支援プロセスを進め,記録・確認・振り返り評価を行う (資料2)。



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